Share

STORY 3

Author: mako
last update publish date: 2026-03-27 16:54:25

あの食事会から一か月近くが経つが、恒一さんとは相変わらずの日々が続いていた。

毎日彼のシャツにアイロンをかけ、食べるかわからない食事を作り、待つ日々。

彼は社長として多忙な日々を送っていて、感情をあまり表さない人だと思っていたが、それは違ったのだ。

美咲と話すときの恒一さんは、私の知っている人とは違った。冷たいのは私に対してだけだった。

そのことは少しずつ私の中で、このままでいいわけがないという思いに変わっていった。

どうにかして離婚を――そう考え始めたとき、ありえない連絡が入った。

「美咲を、しばらくお前の家で預かってほしい」

父からの電話に、私はさすがに「は?」と声が漏れていた。

「なんだその言い方は!!」

すぐに飛んできた罵声に、私は小さく息を呑む。それにしても、どうしてそんなことが言えるのか……。

常識的に考えて、娘の結婚している家に妹を同居させるなど、非常識なうえに、夫が了承するわけ――。

そこまで思って、私は思考を止めた。

――夫は同意する。

その確信が私にはあった。あの二人の親密な様子を見れば、きっと美咲が頼んだか、あるいは夫から提案した可能性も否定はできないだろう。

「どうして?」

そう尋ねると、父は仕事で家を空けることになり、美咲がひとりでは心配だからと、取ってつけたような理由を口にした。

二十四にもなって一人で暮らせないわけはない。家もお金もあるのだから。

そうは思うが、そんなことを言っても仕方がないだろう。私が了承の返事をする前に、父の電話は切られ、無機質な音が響いていた。

その夜、あろうことか、いつもは午前様の恒一さんが珍しく早い時間に帰宅した。

玄関の電子音に顔を上げ、違和感を覚えたまま出迎えに向かう。だが、扉の前で足が止まった。そこに立っていたのは、恒一さんだけではなく、美咲の姿もあった。

「どうして一緒なの?」 

いつもならそんなことを聞くことはないが、今日の私は少し苛立っていた。

理不尽な扱いにも限界だったからだ。お金のためというのなら、もう少し私に敬意を持つべきだろう。

ただ、何もできない主婦をバカにしているだけなのだ。

「お姉さん、ごめんなさい。新婚のお家にお邪魔するなんてダメだって、お父様にも話したのよ」

神妙な面持ちで美咲はそう言うと、深々と頭を下げた。そんな彼女をかばうように恒一さんが美咲の前に立つ。

「一人暮らしなんて危険だろう。お父様は美咲のことが心配なんだ。澪、問題はないな?」

最後の言葉は強く、有無を言わせない言い方だった。

「部屋は用意してあるわ。一階の客間でいいでしょう?」

視線を逸らしながら言うと、恒一さんは不服そうに表情をゆがめた。

「いや、お前の寝室を彼女にすべきだろう。あそこは日当たりがいい」

「え?」

この家は広く、7LDKある。一階はリビングに和室、そしてゲストルームが二つ。二階には恒一さんの書斎と、本来なら夫婦の寝室となるメインの部屋、そしてもう一つの広いゲストルーム。それが私の部屋だ。

夫ではあるが、恒一さんは私と一緒に眠ることはない。それもいつか、子供のために――そう言ってくれることを期待していたが――。

その部屋を美咲に譲れということか……。

どこまでもバカにした夫に、私は少し笑ってしまった。

「恒一さん、私は一階のゲストルームでいいから、お姉さん、怒ってるから」

今にも泣きそうな彼女だったが、ちらりと私を見た視線がにやりと笑ったのが見えた。

そのとき、ああ、こうして美咲は私を陥れようとしているのだと悟った。

それならば、好きにすればいい。

「片付けてくるわ」

そう言って踵を返すと、今まで従順だった私の態度に、恒一さんは「澪!!」と叫んだ。

振り返らず足だけ止めると、恒一さんが後ろから言葉を投げつける。

「お前の妹のためなんだぞ。お礼を言われてもいい立場だろう、俺は」

どこまでもそのスタンスを崩す気はないような夫に、私はくるりと踵を返しふたりを見た。

無意識なのか、わざとなのかわからないが、美咲は恒一さんの腕に自分の腕を巻き付けている。

それを私はゆっくり指さす。

「私の……ためにしては仲良しね」

そう言うと、慌てたように恒一さんはその手を払いのけた。

「澪、お前、最近反抗的だぞ!! いったいどうしたんだ」

そんなこともわからないのだろうか。どうして愛人を家に招くような夫に、優しくなんてできるのだろう。

「どうもしないわ。元々こうだったのよ。猫をかぶってたのかもね」

そう言ってクスっと笑うと、恒一さんは表情をゆがめた。そんなふうに怒ったりする感情があったのか。

心の中は冷え切っていて、自分の夫を見て、そんなことを思った。

Continue to read this book for free
Scan code to download App

Latest chapter

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 24

    数字を見ても、すぐには意味がわからない。「これだけの株式を保有しているということは、単に配当を受け取るだけではありません」「どういうことですか」「会社に対して、それだけ大きな権利を持っているということです」「私が?」「そうです」聞き返してしまった。会社のことは、ずっと父が決めるものだと思っていた。母が亡くなってからはなおさらだった。「でも、父が会社を経営しています」「経営していることと、所有していることは別です」久我先生は淡々と答えた。「お父様は榊原家へ婿養子として入られた方ですよね」「はい」「お母様が亡くなられたことで、お母様が所有していた資産の多くは、遺言に従って一人娘であるあなたへ移っています」頭が追いつかない。「じゃあ……父のものではないんですか」「少なくとも、今確認できている範囲では違います」心臓が跳ねた。父はずっと、榊原家のものは自分が管理すると言っていた。私には何もできない、経営もわからない、だから余計なことはするな、と。「では、どうして父は……」「そこを調べています」久我先生の声が少し低くなった。「黒崎さん。ここからは、まだ確定した話ではありません」「はい」「お父様は、お母様が亡くなったあと、あなたの資産に関係する手続きをいくつか行っています」「私の資産を?」「もちろん、お父様が自由にあなたの財産を処分できるわけではありません。ただ、あなた自身が署名した書類もある」指先が冷たくなった。「私……何かしてしまったんでしょうか」「今の段階でそう決めつける必要はありません」すぐに否定された。「幸い、お母様の遺言はかなりしっかりしています。簡単にすべてを動かせるような状態にはなっていません」

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 23

    翌日、久我先生がマンションを訪れた。「失礼します」「どうぞ」部屋へ案内しながら、不思議な気持ちになる。昨日までホテルにいたはずなのに、今日はここで人を迎えている。もちろん私の家ではない。誰の所有なのかすら知らないのだ。「それにしても、すごいところですね」思わずそう言うと、久我先生は少し笑った。「セキュリティに関しては、国内でも最高水準でしょう」「やっぱり、そうなんですね」だから部長がここを選んだのだろう。KMコーポレーションは国内最大手のセキュリティ会社だ。こういう場所をすぐ見つけられるのも、その立場ゆえかもしれない。「小松さんから、外出は控えるように言われましたか」「はい」「しばらくはそのほうがいいでしょう。お父様がかなり熱心に行方を捜しているようですから」胸の奥が重くなる。「……やっぱり」「ええ」「どうして、そこまでして連れ戻したいんでしょう」娘だから心配している。そんな理由でないことくらい、私にもわかっていた。久我先生はすぐには答えなかった。「今日はそのことも含めてお話ししようと思って来ました」鞄から書類を何枚も取り出す。「まず、お母様から相続された財産についてです」自然と背筋が伸びた。「黒崎さんは、ご自身が何を相続されたか、どこまで把握していますか」「預金と不動産、それから株があることくらいです」「金額は」「……正確には」答えられなかった。母が亡くなったあと説明は受けたはずだ。でも、あのときは何も考えられなかったし、ほとんど父が話を進めていた。『澪には難しい話だから、俺に任せておけばいい』そう言われて、それを信じた。「署名を求められた書類もありました。でも、父が必要だと言うから……」「内容を確認せずに?」「……はい」久我先生の表情が少し険しくなった。「何か問題がありますか」「問題があるかどうかも含め、今確認しています。ただ――」一枚の書類が目の前に置かれた。「お父様から聞いていた内容と、実際の相続内容には差があると思います」「差?」「はい」資料が次々と並べられていく。預金。不動産。有価証券。聞いたことのある企業の名前もいくつもあった。そして最後に、榊原グループの名前が記された資料が置かれた。「お母様は、榊原グループ関連会社の株式を相当数保有されていました」「それは知っています

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 22

    連れてこられたのは、都心の一等地に建つ高級タワーマンションだった。地下駐車場に入るだけでカードキーの認証が必要で、エントランス、専用エレベーターと何重にもセキュリティが敷かれている。エレベーターも居住者の権限がなければ階数を押せない仕組みらしい。「こんなところ……」最上階近くの部屋に通されて、さらに言葉を失った。壁一面のガラス窓の向こうに、東京の街並みが広がっている。複数の寝室がある三LDK。家具も家電も、すでにすべて揃っていた。「ここなら、あいつらも踏み込めない」部長は淡々と言った。「ここって、いったい……」「俺が用意した」「用意したって、こんな部屋を……」数時間でこんな部屋を手配できるものなのか。いくらエリートでも、個人でできる範囲を超えている。戸惑う私を見て、部長はふっと小さく笑った。「勘違いするな。俺の私邸じゃない」「え……?」「今は、お前をこれ以上追い詰めさせない」「不倫はしない」その言葉が車の中で聞いたときと同じ重さで蘇り、胸の奥が小さく痛んだ。「……わかってます」「なんだその顔は」「何でもありません」これ以上惨めな気持ちになりたくなくて、話を逸らした。「あの、ここ、家賃はいくらなんですか」部長が一瞬、言葉に詰まった。「……そこを気にするのか?」「当たり前です」自分の給料で払えるような部屋ではない。裁判がどれだけ長引くかもわからない。「カードも使いたくないし、現金も底をつくかもしれません。こんな家賃、払い続けるなんて――」「金の心配はしなくていいと言っている」「でも――」「必要ないと言っているだろう」その態度に、ますますわからなくなる。「どうしてそこまでしてくれるんですか」気づけば、口をついて出ていた。「赤の他人の私に、どうして」部長の目をまっすぐ見返す。「お金なら、母の遺産を相続できたら全額お支払いします。昨日、自分にも利点があるって言ってましたよね」「そんなもの、端からいらない」迷いなく否定される。「榊原の財産に、一片の価値もない」「じゃあ……」それなら、なおさらわからない。「どうしてここまで助けてくれるんですか」短い沈黙のあと、部長が口を開いた。「……正式に離婚したら、俺と結婚してくれ」「……えっ」聞き間違いかと思った。「けっこん……?」「ああ」「私と、で

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 21

    部長と久我先生が帰ったあと、広すぎる部屋に一人だけ残された。テーブルの上には、渡されたばかりの書類の束。そんなことより、別れ際、部長は言った。不倫はしない、と。それが正しいことくらい、頭ではわかっている。わざわざ自分から不利な立場に足を踏み入れる理由もない。それなのに、胸の奥に黒い澱のようなものが残っていた。「どうして、こんなに悲しいんだろう」誰もいない部屋で呟いて、そんな自分に嫌気が差す。断られたことが、思っていたより深く突き刺さっていた。昨夜は酒の力を借りていたとはいえ、心のどこかで一線を越えるつもりだった。長年秘めていた気持ちに、彼の優しさを重ねていたのかもしれない。でも、今の部長にとって、私はそういう対象ではないのだろう。考えてみれば、元夫からも求められた記憶はなかった。一年一緒に暮らして、肌が触れることすらなかった。妻としても、女としても、何かが足りないのかもしれない。「もうやめよう、こんなこと考えるの」これ以上考えても惨めになるだけだ。それより、これからどう切り抜けるかを考えなければ。ただ、一つだけわからないことが残っていた。どうして部長は、ここまで私のために動くのか。不倫はしないと言い切り、裁判で不利にはさせないと誓い、久我先生まで連れてきて、水面下ですでに動き始めている。昨日、自分にも利点があると言っていた。榊原の財産絡みの話なのだろうか。もし母の遺産を取り戻せたら、その一部を渡すことになるのか。そう考えれば、少しは筋が通る。そんなことを考えていたとき、インターホンが鳴った。久我先生の忘れ物だろうか。モニターに歩み寄り、映像を見て、血の気が引いた。見知らぬ、険しい表情の男。しかも一人ではない。背後に体格のいい男たちが何人も控えている。全員ダークスーツ。ホテルの従業員でないことはひと目でわかった。「……誰なの」父が私の居場所を嗅ぎつけたのか。震える手で扉を開けるべきか迷っていると、スマートフォンが鳴った。画面には「小松部長」の文字。「はい……っ」

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 20

    俺はすぐに義父へ電話をかけた。「澪から離婚の通知が来ました」『なんだと?』 電話の向こうで声が荒くなる。きっとそんなことを想像もしていなかったのだろう。「弁護士を立てています」 事務所名を告げると、しばらく沈黙があった。『澪がそこに依頼したのか?』「そう書いてあります」『馬鹿な……』 義父の声が明らかに変わった。俺と同じ考えだったのだろう。あまりにも大手過ぎる。『そこは金だけ積めば、突然の個人案件をすぐに引き受けるような事務所じゃない』 あの澪に誰が手を貸した?澪を匿い、弁護士まで用意した人間が。「居場所を調べます」『待て。勝手なことをするな』「ですが、このままでは――」 俺を制止すると、義父が歯ぎしりをする音が聞こえた。その不快な音に、俺は表情をゆがめるがそれは見えないから問題ないだろう。『澪には何もできん。金も自由に使えないようにしてある。お前も澪のカードを全部止めろ』 その言葉に、俺は言葉を捜した。俺のカードなど澪には渡していない。

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 19

    ◇◇ Side 恒一 澪が家を出たことに気づいたのは、その日の夜だった。 正確に言えば、朝から姿を見ていないことには気づいていた。 だが、どうせ少し頭を冷やせば戻ってくると思っていたのだ。「まだ帰ってないの?」 リビングのソファに座った美咲が、不安そうに俺を見上げる。「放っておけばいい」 そう答えながら、スマートフォンをテーブルの上へと置いた。 連絡はないが、もちろんこちらから連絡するつもりもなかった。 昨日から澪の態度は明らかにおかしかった。 美咲がこの家に来たことが気に入らないのだろう。 昔から美咲を疎んでいたと聞いていたが、まさか食事にまで細工するとは思わなかった。 一度くらい痛い目を見たほうがいい。 自分がどれほど恵まれた立場にいるのか、少しは理解するだろう。「でも……お姉さん、私が来たから怒ってるんだよね」「美咲のせいじゃない」「でも……」 俯いた美咲の頭を軽く撫でる。昔からそうだった。美咲はいつも周りを気遣う。 自分が我慢すればいいと言って、何でも飲み込もうとする。 それに比べて澪は――。 そこまで考えたところで、ふと違和感を覚えた。 朝食のあと、澪はどこへ行くとも言わなかった。 いつもなら、出かけるときには必ず俺に伝えていたはずだ。 夕食の時間になっても戻らないことなど、この一年、一度もなかった。 だから何だというのだ。少しぐらい自分の立場をわからせるべきだ。そう思った俺だったが、ふと腕に触れた美咲の手で我に返る。「電話してみたら?」「いや、行くところもないんだ、帰ってくるだろう。甘やかすわけにはいかない」 そう言い捨てると、美咲は泣きそうな顔をする。「でも、お姉さんに何かあったら、私……」 美咲に言われ、仕方なく澪の番号を表示する。 数回の呼び出し音がするが、し

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY14

    「……飲めるか?」会社にいた時、飲み会の席はもちろんあったが、家のこともありあまり出席をしていなかった。部長が私がアルコールを飲むか飲まないかは知らないだろう。私自身、それほど得意ではなく、ほとんど口にしないが、今日はなんとなくいろいろなことがあり気持ちも高ぶっていて、飲みたい気分だった。「少しだけなら」そう答えて、口をつける。渋みと香りがゆっくりと広がっていくのに、心だけが落ち着かない。向かいに座る部長は、相変わらず無駄のない所作でグラスを持ち上げていた。何も聞かないのは怒っているからだろうか……。沈黙が落ちる。それに耐えきれなくなったのは、私のほうだった。「本当にご迷惑

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 7

    仕方なくキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けると、中に並んでいる食材はどれも昨日までの自分が用意したものばかりであることに気づき、思わず小さく息を吐いた。当たり前だ。この家で食事を作ってきたのは、ずっと私だったのだから。私はいつも通りに味噌汁を火にかけ、卵を割り、焼き魚を用意した。出来上がった料理をトレイに乗せてダイニングへ運ぶと、リビングでソファに腰かけている恒一さんと、その隣に当然のように身を寄せる美咲の姿が目に入った。その距離の近さに、これが預かっている妹との距離かとため息が零れ落ちそうになる。「できたわ」それだけを告げて仕方がないので、自分も食べようと席に着こうとした時だった。「

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 6

    やはりいつもと違う部屋だからか、昨日のことがあったからか……。遅くまで寝付けなかったこともあり、気づけばブラインドから明るい日差しが差し込んでいた。「どうしよう!!」朝食の準備が間に合わない、そう思った私だったが、不意に別に作ることはない、そう思った。今日は土曜日。恒一さんも会社は休みのはずだ。美咲が彼と一緒に夜を過ごしたのなら……。そこまで考えて小さく息を吐いて、ベッドを下りた。スーツケースの中から着やすいワンピースを選ぶと、それに袖を通す。ゲストルームということで洗面台もついたこの部屋にいて、むしろ良かった。そんなことを思いつつ支度を済ませた。美咲が現れる前は、夫婦なんて到

  • 消えた妻は振り返らない 復讐は雨のように   STORY 5

    寝室を一緒に使おうがどうだろうが、この部屋にいるとまた何かを言われそうだと思った私は、家を出て行くことも考え、荷物をスーツケースに詰めていく。特に大した荷物もないし、とりあえず出て行ったとしても、母のお金を使わなくても働いていた頃の貯金もある。今まで盲目的に父の言うことは絶対で、そうしなければ継母にも怒られる――それがトラウマになっていたのかもしれない。普通に考えれば、こんな私にメリットのない結婚をする理由などないのだ。それ以外にも、この結婚をした理由はあるのだが……。しかし、離婚しようと私が言い出したところで、あの人たちが了承するとは思えない。私はそこで一息つくと、荷物を持って一

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status